『HIV治療』が今、すごいことになっている件
みなさんどうも、たっくるです
今回はみなさんにどうしても伝えたいことがあって書くことにしました。
みなさん、「HIV」と聞くとどんなイメージでしょう?
「同性愛者の病気」「治らない」「ガリガリになって死ぬ」「感染確率は0.1%」
こんなところでしょうか?
ノンノンノン
今のHIV治療、ものすごいことになっているんですよ!!
そもそもHIVとは何か?
HIV(Human Immunodeficiency Virus = ヒト免疫不全ウイルス)は御覧の通り、ウイルスの一種です。簡単に言うとHIVが体に入り、主にヘルパーT細胞という、免疫の司令塔の内部で増殖、ヘルパーT細胞の破壊→別のヘルパーT細胞に感染→増殖→破壊……
を繰り返すことで、感染者のヘルパーT細胞の数が減っていきます。免疫の司令塔がどんどん減っていくわけですから、当然免疫力が下がっていきます。
そして免疫力が一定以下になった時、普段はかからない色々な病気に感染し(日和見感染)、最終的に死に至る、というような流れです。この最後の部分、「免疫力が一定以下になり、日和見感染を起こす状態」がざっくりとしたAIDSです。
AIDSで亡くなった著名人と言えば、故フレディ・マーキュリーでしょうか。1980年代、様々な分野の著名人がAIDSで亡くなり、世界は悲しみに暮れました。
しかし近年の科学者たちの努力により、HIVの量を薬によってコントロールすることが出来るようになりました。
早期治療を始めれば、平均寿命と遜色ないほど長生きすることが出来ます。
もはやHIVの治療は「不可能」ではなく頭痛や肝炎のように「一生付き合っていく」ものとなっています。
しかしながら、ここで一つ問題があります。
感染者は「生涯」薬を飲み続けなければならない
薬によってHIVの増殖を抑えているわけですから、薬を飲むのを止めれば当然HIVは増殖してきます。
毎日、決まった時間に飲み続けます。旅行中も、仕事中も。飲み忘れは許されません。データによれば10回の内服のうち1~2回飲み忘れただけで、患者の半数はHIVが薬に対して耐性を獲得してしまい、以降、その薬が効かなくなります。
これ、中々のプレッシャーだと思います。勿論忘れなければそれでいいんですが、「絶対」は無いですからね。
そんな中、どエライ朗報が飛び込んで参りました。
それは
HIV治療でウイルス「消滅」、幹細胞移植で英男性 2例目
https://www.bbc.com/japanese/47464942
というものです。
もう、見出しを見た瞬間「ついに人類が勝った!!!!!」と思いましたね。
概要を説明しましょう。
そもそもHIVが根治出来ない理由は、その独特な挙動にあります。HIVの遺伝情報の一部は宿主(感染者)のDNAの中に組み込まれ、まれに「休眠」状態に入ります。いつ目覚め、増殖を始めるかは分かりません。そのため、いつ目覚めても良いように、毎日の投薬が必要になります。
HIVはCCR5というタンパク質(細胞に侵入するための鍵穴と考えて下さい)を通じて細胞に侵入します。しかし我々の中にはCCR5が突然変異によりひん曲がった方が存在します。ひん曲がった鍵穴にHIVは入れません。その結果、HIVは細胞内に侵入できず、消滅していきます。
そのひん曲がった鍵穴を持つ人の造血幹細胞を移植し、患者の免疫細胞の鍵穴もひん曲げてやろうという治療が成功した!!という記事です。理論上、すべての鍵穴がひん曲がればそれ以上HIVは増えません。もう薬を飲まなくて済む、ということです。
もちろんまだまだ研究の余地・リスクのある治療法であり、直ぐに世界中に広まることもないでしょう。
しかし、人類が三十余年引分けを続けてきたボスを倒せる日は、そう遠くないように感じました。
いやあ、研究者はすごいなあと感服した一件でございました。
それでは!!